眠れるライオンもたまには起きるっ

もともと国語講師・鈴木鋭智が受験生を励ましたり冷やかしたりするブログでしたが、最近はアシスタントが近況をお伝えしています。

多摩美術大学の小論文

あ さんのリクエストで、
多摩美の小論文にざざっと目を通してみたよ。

多摩美術大学のHP
 →入試・入学案内
  →入試データ・過去問題
   →過去問題(参考作品集)
と進んでいくと、デジタルパンフレットが見つかる。

ていうか、このリンクで行ける。
http://www.tamabi.ac.jp/admission/data/past.htm

バックナンバーが1999年から揃ってるのがすごいね。




さて、多摩美の小論文の攻略法はというと、

前回の日大芸術学部と同じく、「クリエイター目線」。

形式でいうと、芸術学科だけは長めの課題文が出る。
他はキーワード型。
2017年の総合デザイン学科だけは「問題解決型」というちょっと変わった問題が出た。


内容を見ると、
どの学科も、これまで本気で作品を作りまくってきた人であることを前提として出題されている。

「美術の時間に2、3個作ったことあります」程度だと、たぶん話にならない。
作ってきた数とレベルによって「語れること」が違ってくるし、経験の浅い人が文章力でカバーできる話でもない。



自分も仙台に住んでいた頃はバンドやってたけど、
オリジナル曲作ってコンテストとか出て、行けたのが「東北大会で決勝進出」とか「地元のラジオに出演」までだったんだよね。微妙(笑)
そこまでのレベルでも言えることはあるけど、「メジャーデビュー」とか「東京のライブハウスで満員」なんてレベルの人と比べると明らかに音は違うし、メンバーに要求するレベルとか、出てくる言葉も違う。
てか、ポンポン生まれてくる曲の数が半端ねえ!


今は本を何冊か出版するようになったけど、
1冊出しただけでバンザイだった頃と、実際に売れて反響があってからと、何冊か出して売れたり売れなかったりを経験してからではそれぞれステージが違う。
(ときどき、1冊出しただけなのに「出版のやり方教えます」ってセミナーを始める人がいるんだけど、俺はやらないなあ。7冊出しても、まだ出版の世界の入り口しか知らないもん)



なんて、俺の話は置いといて。



まとめると、
1 クリエイターとしての経験値を積む。できれば賞とか取って「客観的評価」を獲得しよう。質で壁を感じたら数で突破しろ。
2 クリエイターの経験をどんどん言葉にする。自分よりレベルの高い人と話してみるのも大事。
3 過去問を一通り見て、いろいろ書いてみる。
4 いい先生に添削してもらう。文章を直されるというよりは、客観的な視点をもらうという姿勢でいた方がいい。



ちょっとは参考になったかな?






日大芸術学部の小論文

鈴木鋭智です。

コメント欄で あ さんから日大芸術学部・推薦の小論文について質問をもらったので、ここで答えるね。

日大芸術学部の小論文には3つのタイプがある。
・課題文が与えられるタイプ
・キーワードが一語与えられるタイプ
・写真や絵を見て何か書くタイプ

どれが出るかはわからないけど、いずれにせよ大事なポイントは2つ。

1 出題意図を推理すること。

2 クリエイターとしての意見を普段から持っておくこと。



この2つはつながっているので、説明しよう。

例年の出題を見ると、
2013年の映画学科では「企業と文化」という本からの課題文。
同じ映画学科の2010年は「聞き上手、話し上手」というキーワード。

出題形式は違うけど、いずれも映画とか映像と関係あることに気づくかな?

企業が作るCMが文化を変えることもある。
ディズニーみたいに巨大企業が映画も文化も作っている場合もある。
最近のスター・ウォーズみたいに、企業が勝手なものを作ると昔からのファンが怒り出すこともある。

聞き上手というのは、特にドキュメンタリーの映像を撮るときには不可欠。
いい芝居を撮るためにも出演者やスタッフのコミュニケーションはとても大事。


ほら、映像を作る立場に立つと切り口がいくらでも出てくるテーマなんだよ。

「企業」だからといって経済の話を書かなきゃいけないわけじゃないし、
「聞き上手、話し上手」といっても友達との思い出話が求められているわけじゃない。



何が出ても「クリエイター目線」で出題意図を考えよう。



となると、普段から「クリエイター目線」を養っておく必要があるよね。

映像、演劇、音楽、文芸、絵画、彫刻・・・・あ さんの専門がどれかは知らないけど、

いままで作品を作ってきたなら、いろんな難しさとか面倒とか迷いとかあったはずじゃん。

一人で作るだけじゃなく、仲間と共同作業したり、作品を発表して評価にさらされるときの苦労もあるはず。

それらを上手に乗り越えたこともあれば、うまくいかなくて後悔していることもあるだろう。

「次にチャンスがあればこうしたい」という思いもあるかもしれない。



そういう経験を言葉にして整理しておくことが大事。

そのために、過去問数年分で書いてみるといいかもよ。
同じ問題は二度と出ないけど、いろんな角度から自分のクリエイター体験を言語化する練習になる。



よく役者やアーティストがインタビューされてペラペラ名言を繰り出しているけど、

あれは普段から飲み屋で演劇論なり音楽論なりを語り合っていて、言葉にしているからだ。

言葉のストック(引き出し)がたくさんあるんだよ。



ただし、「努力は裏切らない」とか「諦めたら試合終了」みたいな手垢にまみれたフレーズを借用しちゃいけないよ。

「自分はこんな作品を作って、こんな経験をした」をディープに振り返っていくと、自分にしか語れない何かが見つかるはず。




実際に答案を書くときの構成は、ざっくりした例だけど次のとおり。

第一段落:問題点 ◯◯には△△という難しさがある
第二段落:原因  その本当の原因はこれだ
第三段落:解決策 だからこうすればいい、こうしたい、こうあるべきだ



ま、他にわからないことがあったら『小論文のオキテ55』を読んでくれ!



もし、あ さんが哲学的思考にハマりやすいタイプの人なら『ミニマル思考』で整理するのもオススメ。





それから、もしまだ時間があるなら高校生活最後の作品で実績を残そうぜ。

趣味で作るときと、コンテストや賞を本気で狙うときでは「クリエイターとしての経験値」が全然違うからね。



とか言いつつ、

俺自身もいま次の参考書の仕上げ中だよ。

次の本ではプレゼンテーションとディベートの常識を覆そうと思ってる。

でも、ものを作るってのは・・・楽じゃないよね(笑)


高校生の読解力、AI以下だって? どうする?

電車での移動時間、
空港の待ち時間、
予定をドタキャンされてぽっかり空いた2時間、
台風や大雪で新幹線が立ち往生してしまった数時間、
連休明けでやたら混んでる病院の待ち時間、

こういうの、大好きだねえ(笑)

落ち着いて読書できる貴重な時間なので。



先日、やっと読めたのがこの本。
AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子
東洋経済新報社
2018-02-02



2011年に「ロボットは東大に入れるか?」という実験的なプロジェクトが始まったんだけど、

結論が出たらしいよ。


「東大は無理でした。MARCHなら入れます」


計算問題や世界史の用語を答える系は得意なのに、

文章を読んで意味を理解する、いわゆる「読解力」が人工知能にはまったくなかったんだって。

コンピュータは「意味」を理解しないんだね。



というのが、この本の内容の半分。

ここまでは「そりゃそうだよね」という人も多かったかもしれない。



それより重大なのが、この本の後半。


「高校生の読解力が、人工知能以下だった」



もう少し詳しくいうと、
「文の意味」ではなく「単語」だけ見つけて答えを出そうとするコンピュータみたいな読み方をする生徒が大半で、教科書すら正しく読めていない。


そうそう! 国語を教えている現場の感覚はまさにその通り!

勉強が苦手な人って、単語だけ拾うよね。

漢字の熟語だけを点々と見て、間のひらがな(助詞)をスルーする。

だから「幕府が大名に命令する」も「幕府に大名が命令する」も同じに見えてしまう。



運転免許の学科試験で何度も落ちる人も、原因は知識不足ではなく国語力だ。

「前の車が右折の合図を出しているとき、その車を追い越すには右側の車線に進路を変える」

おいおい、ぶつかるから!

国語力がないと、「〜とき」とか「〜ならば」という条件の部分をスルーしてしまう。

これは教本の内容を暗記するような話じゃない。
読んで車の動きをイメージすればわかる話だ。




ところが、高校や予備校の「国語」の時間にこんなことを教わる機会はまずない。

だって現代文の問題ってこうだもんね。


傍線部アとはどういうことか、答えなさい。
現代文2



同じ内容が、ほら、ここに書いてありますね。

ここをまとめれば正解です!

現代文3




・・・って、それは視力検査ですから!

同じ内容を拾ったら、ただのオウム返しですから!

理解とかロジックとか不要ですから!




東大クラスでは難易度を上げる。

さあ、これができたら視力2.0☆ みたいな。

現代文4






実際は、これで「問いと論理的に噛み合う解答」にはならないんだけど、予備校では視力検査的なオウム返し答案が「正解」とされている。

その理屈は、「これでそこそこ受かってるから、いいじゃん」



「そんなのは読解力じゃない! 大学が求める国語力じゃない!」

と代ゼミ時代に主張して、模試やテキストの解答の見直しを提案したりしたんだけど、

同業者にはほとんど理解されなかったなあ(涙)



よしそれならと、参考書という形で世に問うてみた。



公務員試験 無敵の文章理解メソッド
鈴木 鋭智
実務教育出版
2017-04-19



でも、日本の国語教育を揺さぶるほどの影響力は・・・なかったなあ(涙)

(小論文のルールを変えた『小論文のオキテ55』のようにはいかなかった)




そんなわけで、学校での国語教育を半ば諦めて「社会人のためのビジネス国語」という仕事にシフトしてみたら、

こっちの方が明らかに需要あったよ。

単語だけ拾って判断する人って、仕事では危険だもん。

売り上げにも生産性にも直結するので、企業は社員の教育にお金をかける。これは投資だ。




それでいまではすっかり企業研修とビジネスセミナーが本業になってしまったんだけど、

この本を読んだら学校教育って世界にちょっと希望が見えてきた。

国語教育の風向きが変わるかもしれない。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子
東洋経済新報社
2018-02-02


集団面接?集団討論?

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鈴木鋭智です。

「集団面接があるんですよぉ。どうすればいいんですか? ディベートとかしたことないし、集団討論って怖いっす。だって高校はずっとぼっちだったんで、集団っていわれると・・・」

はい、ちょっと待った!

募集要項なり試験方式の説明なりはちゃんと読んだかな???

「集団面接」と書いてあった?
「集団討論」と書いてあった?

「面接」と「討論」は、全然違うぞ。



人間は話を半分だけ聞く生き物なので、「集団◯◯」と言われると「集団」の部分だけに過剰反応してしまう。

集団リンチ、集団自殺、集団訴訟、集団的自衛権・・・

何だろう?「集団◯◯」ってネガティブな言葉を連想しやすいね。



というわけで、この件について冷静に整理しておこう。



「集団面接」というのは面接の一種。

受験生が数名並び、面接官の質問に対し挙手あるいは順番に答える。

聞かれる内容は志望理由とか高校時代の活動とか、基本的に「自分について」だ。



これに対し「集団討論」というのは、

与えられたテーマについて受験生同士で議論し、答えを出す。

出されるテーマは「環境問題」とか「民主主義の功罪」みたいな「社会問題」が多い。




ここまでOK?

さあ、募集要項をもう一度読んでみよう。

そこに書いてあるのは「集団面接」かな? 「集団討論」かな?






次に、集団討論についてもう一点。

集団討論はさらに「ディスカッション」と「ディベート」に分類される。

この2つもよくごっちゃにされるよね。



「ディスカッション」とは、参加者全員で一つの答えを出すこと。

出されるテーマは「駅前商店街を活性化させるためのアイデアを出そう」のようなオープン・クエスチョンの形式が多い。



「ディベート」とは、「賛成派/反対派」など2つのチームに分かれてお互いの主張をぶつけ合うこと。

この場合のテーマは「駅前に大型商業施設を誘致すべきか否か」といったクローズド・クエスチョン(二択)の形式が普通だ。




なんか、小論文に似ているね。

小論文も「何か解決策のアイデアを出せ」系の出題と「メリット/デメリットの折り合いをつけろ」系の出題に大きく分かれる。



問題解決を一人で紙の上で行うのが小論文、

みんなでワイワイ進めるのが集団討論、ともいえるね。



ちなみに、絶賛混迷中の「2020年入試制度改革」では英語にもこのディベート的な(つまり小論文的な)記述問題が出るとか出ないとか。

早めに準備しておくといいね。




公務員試験 無敵の論文メソッド
鈴木 鋭智
実務教育出版
2016-02-09


重版御礼! &お知らせ

鈴木鋭智です。お知らせです。

【重版決定!】
オキテ55シリーズ6cm

『何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』
27刷、累計8万7千部

『何を準備すればいいかわからない人のための AO入試・推薦入試のオキテ55』
15刷、累計4万3千部

これに『現代文のオキテ55』1万4,500部を加えると・・・

シリーズ累計14万4500部!!

みなさんの息の長〜い応援のおかげです。
本当に、ありがとうございまする!!




もう一つ、お知らせが。


【日経出版社のHPがリニューアル!】

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先日ここで紹介した動画が、やっと日本経済新聞出版社の公式サイトで正式に公開されたよ。

「受験参考書ベストセラー作家が教える大学受験面接・小論文のポイント」

なんか動画のサムネイルがまだちょっと整っていない感じだけど、まあいっか(笑)

YouTubeでは「日本経済新聞出版社 大学入試」で検索すると出てくるけど、「鈴木鋭智」では出てこない。。。






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