あ さん、お待たせ!

武蔵野美術大学文化芸術学科、小論文の話をしよう。

(2015年〜2018年の過去問はこちら)

2018年の問題はこんな感じ。

公募制推薦前期
別紙の文章を読み、「博物館の役割」という視点で、あなたの経験や身近なことと関連づけて、感じたことや意見を述べなさい(800字以内)。(1時間30分)
(出典:新見隆編『ミュゼオロジーへの招待』の中の第2章、金子伸二「ミュージアムがあらわすもの──定義・種類・目的・機能」70〜72頁、武蔵野美術大学出版局、2015年)

一般入試
配布した文章は、岡本太郎著『今日の芸術 時代を創造するものは誰か』所収の、第5章「絵はすべての人の創るもの」の中の項目「見ることは、創ることでもある」からの抜粋である(初版は1954年に光文社より刊行)。
この文章を読んで、まず著者の考えを要約してから、「作品鑑賞」に対するあなた自身の考えを、具体的な例を交えながら、本文と関連づけて1,000字以内で述べなさい。
なお冒頭に16字以内のタイトルをつけなさい。
(2時間)



この手の問題で一番やっちゃいけないのが「中身を読まず、タイトルだけ見て勝手な解釈をしてしまう」こと。

これ、冗談ではなく本当に多いんだよ(笑)

焦って読む余裕がない、読むのが面倒、読んでも意味がわからない・・・理由はいろいろだろうけど、

採点者は「ちゃんと読まない奴」をまず落とす。

第一段落で「読まなかったな」「誤読したなw」と判断されたら、そのあとどんなに立派な意見を書いていてもアウトだと心得よう。

だって、与えられた課題文をちゃんと読まない人は、大学に入ってから教授の話をちゃんと聞かない人とみなされるじゃん。



というわけで、毎回出される芸術論の読み方を押さえておこう。

ポイントは3つ。

【1 筆者は何をくつがえしているのか】

プロの芸術家や評論家が、素人でも知っているようなベタな話を書くわけないよね。
「従来の常識」をくつがえしていたり、「素人の思い込み」を指摘していたり、あるいは「最近のアートの潮流」に文句をつけていたりするもの。

芸術論に限らず、小論文でも現代文でも、試験に出る文章というのは必ず「筆者の主張」と「逆の話」が交互に出てきて比較されているじゃん。
「日本と西洋」とか「昔と現代」とか「科学と宗教」とか。
これを国語業界で「対比」と呼ぶけどね。

文章を読むときは「大事なところを見つけよう」ではなく「いま読んでいる部分は、どこと逆なんだろう?」と考えながら読むのが正しい。


【2 逆説の論理に強くなる】

逆説というのは「急がば回れ」「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」のように、普通とは逆の結果になるロジックのこと。

プロの物書きはこういう逆説のフレーズが大好きだ。

文章の冒頭やタイトルに逆説が使われることもあれば、最後の結論が逆説で締められるときもある。

「あ、ここ逆説だ」と気づくだけでなく、「なぜ逆の結果になるんだろう?」という理屈を読み取ろう。


【3 過去問は調べながら読む】

過去問と同じ文章が出ることはないけど、過去問を一通り読むと芸術論に対する「勘」がよくなるよ。

過去問を読むときは、スマホ片手に調べながら読むのがいい。

難しい言葉を調べるというのもあるけど、もっと大事なのは「文章中に出てくる作品」。

絵や彫刻について文章で語られても、何の話かピンとこないことも多いよね。

だからその作品を検索する。画像を探す。目で見る。


これだけで、抽象的だった話がものすごく具体的に理解できるし、

何よりいろんな分野の作品を広く知るきっかけにもなる。




昔、センター試験(その前の共通一次試験だったかな?)の文章にルーブル美術館の「サモトラケのニケ」についての文章があったので、

パリまで行ってきたよ!(笑)

実物を見るために。観光じゃなくニケを見るだけのために。

モナリザも素通りしたからね。

DSC01009

(おー! 15年前の写真が出てきた! 恥ずかしいね・笑)


古い大理石の質感とか、修復された跡とか、展示されている場の雰囲気とか、

実物を見て初めてわかることはたくさんある。

百聞は一見にしかずというけど、本当に文章は実物の1%しか伝えられないんだよ。



わざわざ現地まで行かなくてもいいので(笑)、スマホで見られる作品なら調べながら芸術論を読むのを勧めるね。

そうすると筆者が何をくつがえして何を主張したかったのかが、数倍よくわかるようになる。