電車での移動時間、
空港の待ち時間、
予定をドタキャンされてぽっかり空いた2時間、
台風や大雪で新幹線が立ち往生してしまった数時間、
連休明けでやたら混んでる病院の待ち時間、
こういうの、大好きだねえ(笑)
落ち着いて読書できる貴重な時間なので。
先日、やっと読めたのがこの本。
2011年に「ロボットは東大に入れるか?」という実験的なプロジェクトが始まったんだけど、
結論が出たらしいよ。
「東大は無理でした。MARCHなら入れます」
計算問題や世界史の用語を答える系は得意なのに、
文章を読んで意味を理解する、いわゆる「読解力」が人工知能にはまったくなかったんだって。
コンピュータは「意味」を理解しないんだね。
というのが、この本の内容の半分。
ここまでは「そりゃそうだよね」という人も多かったかもしれない。
それより重大なのが、この本の後半。
「高校生の読解力が、人工知能以下だった」
もう少し詳しくいうと、
「文の意味」ではなく「単語」だけ見つけて答えを出そうとするコンピュータみたいな読み方をする生徒が大半で、教科書すら正しく読めていない。
そうそう! 国語を教えている現場の感覚はまさにその通り!
勉強が苦手な人って、単語だけ拾うよね。
漢字の熟語だけを点々と見て、間のひらがな(助詞)をスルーする。
だから「幕府が大名に命令する」も「幕府に大名が命令する」も同じに見えてしまう。
運転免許の学科試験で何度も落ちる人も、原因は知識不足ではなく国語力だ。
「前の車が右折の合図を出しているとき、その車を追い越すには右側の車線に進路を変える」
おいおい、ぶつかるから!
国語力がないと、「〜とき」とか「〜ならば」という条件の部分をスルーしてしまう。
これは教本の内容を暗記するような話じゃない。
読んで車の動きをイメージすればわかる話だ。
ところが、高校や予備校の「国語」の時間にこんなことを教わる機会はまずない。
だって現代文の問題ってこうだもんね。
傍線部アとはどういうことか、答えなさい。

同じ内容が、ほら、ここに書いてありますね。
ここをまとめれば正解です!

・・・って、それは視力検査ですから!
同じ内容を拾ったら、ただのオウム返しですから!
理解とかロジックとか不要ですから!
東大クラスでは難易度を上げる。
さあ、これができたら視力2.0☆ みたいな。

実際は、これで「問いと論理的に噛み合う解答」にはならないんだけど、予備校では視力検査的なオウム返し答案が「正解」とされている。
その理屈は、「これでそこそこ受かってるから、いいじゃん」
「そんなのは読解力じゃない! 大学が求める国語力じゃない!」
と代ゼミ時代に主張して、模試やテキストの解答の見直しを提案したりしたんだけど、
同業者にはほとんど理解されなかったなあ(涙)
よしそれならと、参考書という形で世に問うてみた。
でも、日本の国語教育を揺さぶるほどの影響力は・・・なかったなあ(涙)
(小論文のルールを変えた『小論文のオキテ55』のようにはいかなかった)
そんなわけで、学校での国語教育を半ば諦めて「社会人のためのビジネス国語」という仕事にシフトしてみたら、
こっちの方が明らかに需要あったよ。
単語だけ拾って判断する人って、仕事では危険だもん。
売り上げにも生産性にも直結するので、企業は社員の教育にお金をかける。これは投資だ。
それでいまではすっかり企業研修とビジネスセミナーが本業になってしまったんだけど、
この本を読んだら学校教育って世界にちょっと希望が見えてきた。
国語教育の風向きが変わるかもしれない。
空港の待ち時間、
予定をドタキャンされてぽっかり空いた2時間、
台風や大雪で新幹線が立ち往生してしまった数時間、
連休明けでやたら混んでる病院の待ち時間、
こういうの、大好きだねえ(笑)
落ち着いて読書できる貴重な時間なので。
先日、やっと読めたのがこの本。
2011年に「ロボットは東大に入れるか?」という実験的なプロジェクトが始まったんだけど、
結論が出たらしいよ。
「東大は無理でした。MARCHなら入れます」
計算問題や世界史の用語を答える系は得意なのに、
文章を読んで意味を理解する、いわゆる「読解力」が人工知能にはまったくなかったんだって。
コンピュータは「意味」を理解しないんだね。
というのが、この本の内容の半分。
ここまでは「そりゃそうだよね」という人も多かったかもしれない。
それより重大なのが、この本の後半。
「高校生の読解力が、人工知能以下だった」
もう少し詳しくいうと、
「文の意味」ではなく「単語」だけ見つけて答えを出そうとするコンピュータみたいな読み方をする生徒が大半で、教科書すら正しく読めていない。
そうそう! 国語を教えている現場の感覚はまさにその通り!
勉強が苦手な人って、単語だけ拾うよね。
漢字の熟語だけを点々と見て、間のひらがな(助詞)をスルーする。
だから「幕府が大名に命令する」も「幕府に大名が命令する」も同じに見えてしまう。
運転免許の学科試験で何度も落ちる人も、原因は知識不足ではなく国語力だ。
「前の車が右折の合図を出しているとき、その車を追い越すには右側の車線に進路を変える」
おいおい、ぶつかるから!
国語力がないと、「〜とき」とか「〜ならば」という条件の部分をスルーしてしまう。
これは教本の内容を暗記するような話じゃない。
読んで車の動きをイメージすればわかる話だ。
ところが、高校や予備校の「国語」の時間にこんなことを教わる機会はまずない。
だって現代文の問題ってこうだもんね。
傍線部アとはどういうことか、答えなさい。

同じ内容が、ほら、ここに書いてありますね。
ここをまとめれば正解です!

・・・って、それは視力検査ですから!
同じ内容を拾ったら、ただのオウム返しですから!
理解とかロジックとか不要ですから!
東大クラスでは難易度を上げる。
さあ、これができたら視力2.0☆ みたいな。

実際は、これで「問いと論理的に噛み合う解答」にはならないんだけど、予備校では視力検査的なオウム返し答案が「正解」とされている。
その理屈は、「これでそこそこ受かってるから、いいじゃん」
「そんなのは読解力じゃない! 大学が求める国語力じゃない!」
と代ゼミ時代に主張して、模試やテキストの解答の見直しを提案したりしたんだけど、
同業者にはほとんど理解されなかったなあ(涙)
よしそれならと、参考書という形で世に問うてみた。
でも、日本の国語教育を揺さぶるほどの影響力は・・・なかったなあ(涙)
(小論文のルールを変えた『小論文のオキテ55』のようにはいかなかった)
そんなわけで、学校での国語教育を半ば諦めて「社会人のためのビジネス国語」という仕事にシフトしてみたら、
こっちの方が明らかに需要あったよ。
単語だけ拾って判断する人って、仕事では危険だもん。
売り上げにも生産性にも直結するので、企業は社員の教育にお金をかける。これは投資だ。
それでいまではすっかり企業研修とビジネスセミナーが本業になってしまったんだけど、
この本を読んだら学校教育って世界にちょっと希望が見えてきた。
国語教育の風向きが変わるかもしれない。
コメント
コメント一覧 (4)
先生の著書はほとんど読ませていただいていて、特にミニマル思考は仕事でも活用させていただいています。
先生にご質問ですが、今の日大のタックル問題とその対応についてどうお考えですか?
私個人としてはもういいだろうって感じですし、ミニマル思考的には「世間的な批判は自分自身の害になっているのか?」というところなのでしょうか。
先生のご意見をお聞きしたいです。
社会人になっても読んでくれるって嬉しいねえ!
日大タックル問題ってスター・ウォーズみたいだと思う。
良心の呵責に耐えかねて寝返った脱走兵フィン
誰も逆らえない最高指導者スノーク
上には逆らえないけど闇と光の間で苦悩するカイロ・レン
テレビに映る関係者全員が自分の役を正しく演じきってる(笑)
エンタメ的には最後にNo.2が善に転向するのが定番だけど、どうなるかな?
真面目な話をすると、
ブラック企業でも「全部ぶちまけて辞める自由」があるってことを見せてくれたわけで、
あの選手の会見は世の労働者たちに勇気を与えたんじゃないかと思う。
自分は日大芸術学部を推薦で受けるのですが小論文が苦手で....というか知識がゼロです...
先生の著作である何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55を読めば何とかなりますか?
質問ありがとう!
長くなりそうなので、次の記事で答えるよ。