センター試験まで1カ月!

過去問もやり尽くし、問題集にももう飽きたという受験生のために

今年もいってみよう、選挙公報で国語の勉強♪

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もともとは市議選から始まったこの企画。

地方選挙に比べて国政選挙の選挙公報は完成度が高くてツッコミどころも少なかったんだけど、

急な解散総選挙だったせいか、国政選挙なのに手作り感溢れる楽しい選挙公報に仕上がってるね☆





今回の趣向は「書き方が読み手に与える印象」。

政策の中身にはあまり興味が湧かなくて(笑)





それでは自民党公認、牧原ひでき候補から。

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まずは「景気と生活」が、何なのか?

景気と生活「が大変だ!」なのか、

景気と生活「が良くなりました!」なのか、

景気と生活「を良くしました!」なのか。

述語がないと、ポジティブなメッセージにもネガティブなメッセージにも見えるんだよね。




人間って案外テキトーに文を読む生き物なんだよ。

いまの日本では景気が「悪くなった」という人と「良くなった」という人がいて、彼らは勝手に(先入観で)述語を補ってしまう。

部分的に誤読されると、他の部分とつじつまが合わないので結果的に「よくわからない人」という印象になってしまう。というか、そもそも印象に残らない。


選挙公報で読み手に読解力を求めちゃいけない。
当選したかったら「テキトーな有権者」も取り込めるように書かないと。




どうせならストレートに
「アベノミクスで景気も生活もこんなに良くなりました!だから自民党公認の私に投票すべきです!」
と言えばいいのに。与党公認なんだから。




「いやいや、これはただの見出し(キャッチコピー)であって、下の内容と合わせてちゃんと読めばわかる」という意図かもしれないけど、

それにしては下のデータが庶民の実感から遠いものばかりで、しかも強調の仕方が変。



100とか15とか2とか30とか、数字だけを大文字にしているけど、

これが効くのは「増えてる/減ってる」というベクトルの向きが読者にも既に明らかな場合に限られる。




でも現実には「雇用は減って、賃金も減って、年金は破綻寸前」と逆のベクトルをイメージしている有権者が多いわけだから、

「増加」「上昇」というキーワードを大文字にして、読者の頭の中の前提を覆す必要がある。



もっとも、最初から「景気と生活がこんなに改善されました!」と言っていれば、数字を大文字にしたままでよかったんだけどね。





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「エネルギーの安定供給は、私達の生活に欠かせません。低価格での原油と天然ガスの調達に国家政策を総動員します。同時に再生可能エネルギーの促進もしていきます。」

で、原発再稼働には賛成なの?反対なの?




「●旧社会保険大宮総合病院のプラザノース北側への移転新設計画に尽力
●圏央道と上尾道路の早期完成に尽力!来年度に開通予定。
●高崎線・宇都宮線の上野駅からの延伸計画推進に尽力。来年3月に開通予定。
●2017年世界盆栽大会の大宮誘致に尽力。開催が決定しました。」

ここでの「尽力」って何だろう?

現役議員の「尽力」と一市民の「尽力」と国際弁護士の「尽力」は中身が違うはずだ。

ここで弁護士っぽい具体的行動が書かれていたら、プロフィールとこれまでの政治活動の一貫性が生まれて説得力が増すはず。




あ、そうそう。プロフィールでわざわざ「落選中は……」とか書かなくていいのに。

地元では「落選中の人」というより「まだ枝野王国を倒していない人」なんだから。

(てか普段は「ニューヨーク州弁護士」をやってるんじゃないのか?)





さて次、民主党の枝野候補。

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うわっ、ゴシック体びっしりの圧迫感!(笑)

左翼のビラじゃあるまいし。

しかも改行のあと1文字空けていないので、段落の変わり目がわからない。

軽い読者を排除するためにわざと読みにくくしているのか?




ちなみに「原稿用紙の最初の1マスを空けるか空けないか」というのは国語でよくある質問だけど、単純なルールがあるんだよ。

段落を分ける文章では最初の1マスを空ける。段落を分けないときは空けない。

だから小論文では冒頭の1マスを空けるし、国語の記述問題や要約のときは空けない。
(要約でも、たとえば前半と後半で段落を分けるなら最初の1マスは空ける)




つーか「、(読点)」が多いよね。

「どんな権力も、しっかりとした対抗勢力が存在せず、緊張感がなくなれば、堕落し、暴走します。」
 ↓
「どんな権力も、対抗勢力との緊張関係がなくなれば、堕落し暴走します。」

「枝野は、特に幹事長に就任した今年の九月以降、明確な姿勢と発信で、党内はもとより、多くの他の野党を取りまとめ、政権と厳しく対峙し、政治に緊張感を取り戻す流れを作り上げてきました。」
 ↓
「枝野は民主党幹事長として党内のみならず野党をも取りまとめ、安倍政権と厳しく対峙してきました。その結果、政治に緊張感を取り戻しつつあります。」



プロのライターが書いた文章には見えないなあ。
まさか枝野さんの演説をそのまま文字にしたとか?



「さいたま発、次の日本のリーダーを、力強く!
押し上げていただきますよう、お願いします。」

改行のタイミングもおかしいし。


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「寛容で多様性のある日本を守る!」

てっきりヘイトスピーチに反対するのかと思いきや、

「特定秘密保護法」ですか?




「八百万の神」から「特定秘密保護法」かあ、飛んだなあ。。。




ここでの論法には2つの問題がある。

1 「日本の伝統」は法案に反対する根拠になるのか?
2 漢字と仏教の例は「寛容で多様性」の例として適切なのか?



いま現実に施行された法律に反対するなら、この法律によって実際に起こりうるトラブルを挙げた方が早い。
「昔の日本はこうだった」と言われても、「昔は昔、今は今」と考える人もいる。



それに、
「寛容」というのは嫌な奴でも許すこと。
「多様性」は異なるものが共存できること。


漢字は迷惑な存在ではないし、漢字が伝わった頃の日本には他に文字がなかった。

だから寛容の例にも多様性の例にもならない。

仏教も、蘇我氏(崇仏派)が物部氏(排仏派)を滅ぼしたこととか秀吉以降キリシタンが弾圧されたことを考えると寛容ばかりとはいえない。

どちらかというと、漢字と仏教は日本人の柔軟さとかアレンジ能力を示す例だよね。




「八百万の神」と「特定秘密保護法」を強引に並べられると、読み手としてはいろいろ勘繰ってしまう。

仮説1 後援会の歴史好きなオヤジに任せたら好き勝手に書かれてしまった。
仮説2 「売国奴」とか「中核派(革マル?)」とか言われないために右寄りの有権者に迎合した。




もっとも、枝野候補には他の候補が書けない必殺技がある。

「変わらぬ初心
 続けています街頭演説 しがらみがない!作らない!
重ねる経験
 内閣官房長官 党幹事長 行政改革担当大臣 経済産業大臣」

現職議員としての実績を列挙できるのは新人候補に対して大きなアドバンテージのはず。

だったら「八百万の神」なんかよりも実績を前面に打ち出せばよかったのに。
震災のとき大活躍して、民主党の中で「唯一」評価されている人物なんだから。




続いて共産党・山本ゆう子候補。

共産党はいつも主張がハッキリしていてわかりやすいね。しかも書き方にまったく無駄がない。

アベノミクス反対、増税反対、集団的自衛権反対、原発再稼働反対。

マッキーもこれくらい白黒ハッキリさせたら積極的支持者が増えるのに。



それに「教師39年」で「子どもたちを戦場に送らない」って、プロフィールと政治的主張がピッタリ合っている。
しかもさいたま市内の小学校に赴任していた経歴が地元にもアピールしていて一石二鳥。

それに比べてマッキーの「ニューヨーク州弁護士」はもったいない、もったいない。




何より、共産党はレイアウトが上手いよね。

まず目に入るのがメインコピー「暴走ストップ 政治を変えるチャンス」。

強いメッセージなのに明朝体なので毒々しく感じない。しかも斜体で鋭さはキープ。

枝野さん(てか枝野さんのを書いた人)にもこれくらいのバランス感覚があったら読む人増えるのに。



次に目に入るのは下の「比例代表は日本共産党とお書き下さい」。

これはマッキーも枝野さんも書いてない!

大事なポイントなのに、なぜ?

2人とも政党名を前面に出したら困ることでもあるのか?




というわけで、今回の「選挙公報添削」は共産党の圧勝。実際の選挙の勝敗は知らないけど。

この選挙公報添削の企画を始める前は、まさか自分の人生で共産党を褒める日が来るとは思わなかったよ(笑)


2013年07月16日 選挙公報で国語の勉強 参院選2013
2013年05月15日 選挙公報で国語の勉強2013
2011年04月07日 選挙公報で国語の勉強
2009年05月17日 立候補者の自己PRを国語目線で添削してみた