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「帝国海軍鎮守府発 横須賀海軍カレー」のレトルト袋を見ていて気になった、小さな小さな日本語の表現。


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明治時代、「洋食」といえば、それはカレーライスのことだった。文明開化の象徴ともいうべきこのカレーライスを本格的に取り入れたのは横須賀を発祥の地とする旧帝国海軍であった。その後、呉・舞鶴・佐世保の旧鎮守府を通じ、全国に拡がった。後に日本人にもっともなじみの深い食事となるカレーライスは横須賀の海軍から始まったのである。そしてここに、平成の今甦るレトロな味が誕生したのである。また好評の海軍カレーを始めとする「海軍シリーズ商品」は、私どもが日常求めて止まない「平和祈願」へのよすがとなり得れば幸いと存じます。


「……カレーライスのことだった
……旧帝国海軍であった
……全国に拡がった。」

間違いではないけど、「…った」の過去形が続くと語呂が悪い。
「……カレーライスのことだった。
……旧帝国海軍である
……全国に拡がった。」
にするとキレがよくなる。



同様に、
「……始まったのである
……誕生したのである。」
も「のである」が続くと無駄に重々しくなる。
そもそも歴史の話から新商品の話に変わるところなので、語尾を揃えると話の変わり目が曖昧になっちゃうんだよね。
「……始まったのである。
……誕生した。」
にするといい。




「日本人にもっともなじみの深い食事となる」だと、おにぎりや味噌汁を超えたことになってしまう。
文脈から見ても「日本人にもっともなじみの深い洋食となる」の方が妥当だ。



「そしてここに、平成の今甦るレトロな味が誕生したのである。」
なんか回りくどいと思ったら、「甦る」と「誕生した」がかぶってる。
「そして平成の今、あのレトロな味が甦った」でいいんじゃないかな。



そして一番ツッコミ所の多い最後の一文。
「『海軍シリーズ商品』は、私どもが日常求めて止まない『平和祈願』へのよすがとなり得れば幸いと存じます。」

まず主語と述語が変。「幸いと存じて」いるのはこの会社であってカレーではない。
「『海軍シリーズ商品』、……『平和祈願』へのよすがとなり」だったらいい。

それに「である」調で書いてきた文章の末尾だけ「です・ます」というのも、最後に急に態度変えたみたいで変だ。
ここは普通に「幸いである。」で十分。

まだあるぞ。
「よすが」というのは「手がかり」のこと。これは解釈が二通り成り立つ。
海軍シリーズ商品を「平和祈願への手がかり」にしたいのか、
海軍シリーズ商品を「平和への手がかり」にしたいのか。

「私どもが日常求めて止まない」のは「平和祈願」じゃなくて「平和」じゃないか?
(日常的に求めているかどうかはまた別として)

「なり得れば幸い」も回りくどいよね。「なれば幸い」でいい。


というわけで、この一文をスッキリさせるなら
「『海軍シリーズ商品』が、私どもの祈願して止まない平和へのよすがとなれば幸いである。」
これでどうだ?



ここまで全部まとめた俺の改善策はこちら。

明治時代、「洋食」といえば、それはカレーライスのことだった。文明開化の象徴ともいうべきこのカレーライスを本格的に取り入れたのは横須賀を発祥の地とする旧帝国海軍である。その後、呉・舞鶴・佐世保の旧鎮守府を通じ、全国に拡がった。後に日本人にもっともなじみの深い洋食となるカレーライスは横須賀の海軍から始まったのである。そして平成の今、あのレトロな味が甦った。好評の海軍カレーを始めとする「海軍シリーズ商品」が、私どもの祈願して止まない平和へのよすがとなれば幸いである。




つーか、俺この会社の社員でも何でもないのに何やってんだろ?

職業病だよなあ。。。