コメント欄にポニョさんから面白い質問があって、長くなりそうなのでここで答えよう。

質問なのですが、すきな曲中の歌詞に「この込みあがる気持ちが」というフレーズがあるのですが「込み上がる」って日本語として、ありなんでしょうか?
「込み上げる」のように「-上げる」という形の動詞で、自動詞になるものって他にもありますか。
教えて下さい。お願いします(/_;)


Superflyの『愛を込めて花束を』のBメロだね?

文法的にいうと、「込み上がる」は間違い。
「こみ上げる」で自動詞なんだよ。

でも、この曲に限っては「込み上がる」で◎だと思う。


【理由1】
実際に歌い比べたとき、「上げる」では語感が悪い。
「上がる」の方が抜ける感じがする。

約束したとおりあなたと
ここに来られて本当によかったわ
この込み上がる気持ちが愛じゃないなら
何が愛かわからないほど


このBメロは明らかに母音を計算していて、
抑えたメロディの前半2行は重い「オ」の音が並んでて、音程も勢いも上がっていく後半2行は明るい「ア」の音が並んでるんだよね。

ここで「エ」の音が入ると流れを切ってしまう。文法的に正しくても音楽的に野暮になる。



【理由2】
「上げる」よりも「上がる」の方が「気持ちの制御不能っぽさ」が表現できる。
「上げる」だと一瞬他動詞っぽく聞こえて、気持ちを冷静に対象化してるように誤解されかねないんだよ。

直前のAメロでは「キレイなものは遠くにあるからキレイなの」、
直後のサビでは「理由なんて訊かないでよね」。

「理屈を超えて沸き上がってくる感情」を表現するのに「文法を無視した言葉」を使うって、むしろピッタリだと思うんだよね。破調の美。




以上より、この歌詞の「込み上がる」は必然性があって選択された表現と考えられる。

韻文の作り方として天才的だと思う。やっぱプロって凄いね。