ちょっと難しい話するぞ。


日本人が苦手な受け答えに「なぜ問題」がある。


「平均寿命」と「最大寿命」の違いを読み取らなきゃいけない文章があったんだよ。

「平均寿命と最大寿命、それぞれ何で決まる?」と尋ねたら、

「平均寿命は統計で決まる。最大寿命はギネスブックに載っている」
という答えがあった。

正解は
「平均寿命は病気や事故などで死ぬ年齢の平均。最大寿命は細胞分裂の回数の限界」

違いがわかるかな?

「どうやって平均値と最大値を知るのか(=根拠)」なら「統計」と「ギネスブック」でいい。

でも「なぜ多くの人が平均的な寿命で死ぬのか(=原因)」なら「病気や事故」。
同じく「ギネスに載る人もなぜその年齢までしか生きられないのか」なら「細胞分裂の限界」だ。


日本語の「なぜ?」「何で?」はまぎらわしいね。


国語の「なぜ?」問題には三種類ある。
・なぜそうなったのかという【原因】
・何のためかという【目的】
・なぜそう言えるのかという【根拠】

このうちどれを答えるべきかは文脈と設問で判断する必要がある。


むかし東大で出た問題。

「戦死者の遺骨を故郷に持ち帰る習慣は明治以降の軍国主義によって始められたものだが、戦後の日本政府も戦地での遺骨収拾を再開した。しかしこれは政治的なものというよりは日本人の遺骨を尊ぶ心によるものだ」

という文章。長いので前後の話は省略したよ。

それで設問は
「なぜ筆者は政府の遺骨収拾を日本人の心によるものと考えているのか?」

これに対する某出版社の模範解答は
「軍国主義によって始められた遺骨を尊ぶ習慣が、長年のあいだに日本人の心に刷り込まれたから」

う〜ん、ダメ。
だから「心に刷り込まれた」と言えるのはなぜか?って聞いてんじゃん(笑)

「なぜ日本人が遺骨収拾を再開したのか」という【原因】ならこれでもいい。
でも、求められているのは「なぜ筆者は政治ではなく心だと考えたのか」という【根拠】だ。

正解は
「もしも政府による遺骨収拾が政治的なものならば国の責任である戦争の犠牲者だけが対象となるはずだが、実際には国の責任ではない日航機墜落現場や阪神大震災の被災地でも行われているから」

日航機とかの話は本文の最後にちらっと出てくる。でも傍線部と離れているというだけで見落としてしまう人が多いんだよ。

【根拠】を説明するというのは一種の証明問題。
傍線部の周辺を適当にまとめればいいというものではない。
ましてや最後に「・・・から」を付ければいいってもんでもない。

「なぜ?」と問われたら【原因】【目的】【根拠】のどれを求められているのか、気をつけよう☆