Q:志望理由書といっても、ぶっちゃけ大した理由なんてないんですけど、適当に埋めちゃマズいっすか?

A:志望理由書や自己PRの基本は「これまでの自分」と「これからの自分」を語ることだ。人は「これまで」を語ることで信用され、「これから」を語ることで期待される。志望理由書とは、大学の教授から信用と期待を勝ち取るための1枚の紙なのだ。適当に埋めるなんてもったいない。

 「これまでの自分」とは、志望する分野に関して自分がどんなことを考えてきたのかというもの。たとえば法学部であれば、社会や政治に関するニュースやいままで読んだ本、自分の経験から「自分が考えてきたこと」を述べる必要がある。「考えてきたこと」といっても「楽しかった♪」という話ではない。「何が問題となっていて、自分はそれをどうしたいのか」という“問題解決”の視点が必要だ。
 普通の高校生はここでうっかり「中学校の頃、こんな出来事があって・・・」と思い出話を始めてしまうが、必ずしも体験談を書く必要はない。どんな劇的な体験でも、そこから「考えたこと」がお粗末であれば合格は難しいはずだ。そもそも字数が限られていることが多いので、体験談を書くスペースはないと思った方がいい。

 そして「これからの自分」。これは「大学で学びたいこと」と「卒業後の職業」の二つを必ず満たすことが必要だ。
 「大学で学びたいこと」は大学のパンフレットに書いてある科目の名前をそのまま書いてもダメ。自分がいま知りたいことを自分の言葉で書こう。たとえば「経済学概論1」ではなく、「なぜ小麦の価格が高騰しているのか」などと書いた方が、自分の頭で考えていることをアピールできる。
 間違っても「サークルやバイトも頑張ります」などと書いてはいけない。それが本音であったとしても、ここでは書かないという最低限のルールを守れる大人を大学は求めている。
 そして「卒業後の職業」。もちろん職業の希望など、大学の4年間でコロコロ変わるものだ。しかし現時点で職業について言える人と言えない人では、4年間の過ごし方もその後の人生の送り方も大きく違ってくる。いま全国の大学が頭を痛めているのが学生の就職率低下だ。大卒のフリーターや派遣社員が増えている中、正社員としての就職率は大学の評判を大きく左右し、経営にも関わってくる。このような大学の事情があるからこそ、職業をはっきり言える受験生はそれだけでかなり優位に立てるのだ。



 参考までに、志望理由書のサンプルを紹介する。

【ダメな例】
 私は貴大学文学部の心理学科を志望する。もともとは親に勧められた法学部に行きたかったのだが、心理学を専攻した先輩の話を聞くうちに、キャンパスライフの楽しさを知り、心理学科に進みたくなったのである。また、心理学科は他の学科より就職しやすいと聞きます。いま日本は格差社会となっている。下流にならないためにも、私はここで手に職を付け、自立した大人になりたい。
 以上より、私は文学部心理学科を切実に、真剣に志望するのである!

〈ダメな点〉
・「もともと法学部」「親に勧められた」では文学部を志望する意思があるとは思えない。
・「キャンパスライフの楽しさ」はサークルや学食の美味しさも含む。それより心理学という学問の話を書こう。
・「就職しやすい」「下流にならないため」は自分の経済的安定ばかりを考えている。何の仕事で社会の役に立つのかという視点が全く欠けている。
・「切実に、真剣に!」本気かどうかは、やりたいことを具体的に詳しく言えるかどうかに表れるものだ。大げさな言葉を使ってもダメ。


【良い例】
 私は将来、臨床心理士の資格を取ってスクールカウンセラーになりたい。いま日本の子供たちはいじめや児童虐待など大変厳しい環境に置かれている。心に傷を負った子供たちが助けを求める相手が必要とされているのである。
 私が関心を持っているのは、家族関係が子供の心理に与える影響である。また日本より家庭崩壊が早く進んだ米国の研究成果にも興味がある。卒業後は大学院に進み、より高度なカウンセリングの手法を研究していきたい。

〈良い点〉
・「スクールカウンセラー」という職業をはっきり言っている。
・子供たちの現状についての問題意識を述べている。
・調べたい疑問を自分の言葉で述べている。
・卒業後のプランも明確。