眠れるライオンもたまには起きるっ

もともと国語講師・鈴木鋭智が受験生を励ましたり冷やかしたりするブログでしたが、最近はアシスタントが近況をお伝えしています。

「俺が、つくる!」

60766f7f.jpg「俺が、つくる!」
  岡野雅行 中経出版
  難易度 ☆
世界初「細すぎて痛くない注射針」の開発で日本国内のみならず海外の医療関係者をも驚かせた日本の金型職人、岡野雅行。一見下町の地味な工場のおじさんにしか見えないが、みんなが持っている携帯電話の超薄型電池から米軍ステルス戦闘機のどっかの部品まで、彼のアイデアと技術がなかったら実現しなかった革命的製品を数えたらきりがない。そんな世界一の職人がモノ作りからビジネス、人生まで熱く語るべらんめえ調の一冊。世界の大企業に頭を下げさせてきたオヤジが放つスケール違いの名言の数々に、小さい悩みなんか吹っ飛ばされること間違いない。できれば若いうちに読んでおけ。遅くとも社会人になる前には必ず読め。

「天下無双の建築学入門」

46d9de6d.jpg「天下無双の建築学入門」
  藤森照信 ちくま新書
  難易度 ☆☆
丸太は石器で切れる。でも弥生時代に大陸からやってきた竹は鉄製のノコギリでないと切れない。縄文と弥生の技術的な違いにはこのような風土的な違いが関係している…。縄文をこよなく愛し、竪穴式住居まで自作してしまう著者が日本の住宅をあらゆる視点から解説する。畳の歴史に日本人のヒエラルキー感覚を見抜き、日本で階段が発達しなかった理由を日本舞踊に発見し、なぜかギリシャのパルテノン神殿に古代ギリシャ人の木造コンプレックスを看破する。文章が面白いのでスラスラ読めてしまうが、古今東西の建築に精通した著者の慧眼、実はスゴイ。

「ハプスブルク家」「オスマン帝国」

ハプスブルク家オスマン帝国「ハプスブルク家」   江村洋著
「オスマン帝国」    鈴木董著
  講談社現代新書
  難易度 ☆☆☆☆
全く無関係に書かれたこの2冊、でもセットで読むと面白さは5倍になる。ハプスブルク家=神聖ローマ帝国とオスマントルコ帝国は16世紀以来、バルカン半島を主戦場に抗争を続けてきた「敵対する隣国」だった。その経緯を知れば、トルコがEUに無理矢理入りたがっているのもよくわかる。近現代史にはかりしれない影響を与えた割に世界史では別々に扱われるこの両者の内情が、当然それぞれの側から描かれている。これぞ公平な歴史観。歴史も友達の噂も離婚調停も、片方の言い分だけ聞いていては判断を間違うもんだ。

「数字のホント?ウソ!武器としての〈数のセンス〉を磨く」

数字のホント?ウソ!「数字のホント?ウソ!武器としての〈数のセンス〉を磨く」
  加藤良平  ベスト新書
  難易度 ☆☆☆
昔から、人類の大脳が最も苦手とする思考が「確率」と「割合」だ。どちらもアタマの中で正しく実感するのが難しいだけに、前者がわからない男がギャンブルで身を滅ぼし、後者がわからない女は借金地獄で売り飛ばされる。学生時代、ヤ○ザの組長(家庭教師先のお父さん)に「男は数字に強くなければ出世できない」と言われた。やっぱ確率と割合で人を喰いものにしている人は言うことが違う。いま思えば貴重な教えだったな。一度理解すると世の中の仕組みが全然違って見えるぞ。文系理系問わず必読。

「パスタの迷宮」

「パスタの迷宮」
  大矢復  洋泉社
  難易度 ☆☆☆☆
この著者はいろんな顔を持つ。ある時は洒落たエッセイを雑誌に連載するイタリア学者、またある時は美食の伝道師。そうそう、ついでに代ゼミの講師もやってるね。飲み会の度に被害に遭っている俺にはただの飲んだくれにしか見えないけど…。そんな著者の知性と博識が炸裂する、受験には何の関係もない道楽本。古代ローマ人の世界観や小麦の植物学的特性など、あらゆる観点からパスタの発生史を推理していく「大矢理論」が辿り着いた驚愕の結論は、パスタの起源をめぐる世界中の論争に終止符を打った!…かも知れない。巻末に超わかりやすいレシピ付き。この通りにカルボナーラを作ってみたら、専門店で食べるより旨かった。
Recent Comments
記事検索
メールはこちらへ
  • ライブドアブログ