眠れるライオンもたまには起きるっ

もともと国語講師・鈴木鋭智が受験生を励ましたり冷やかしたりするブログでしたが、最近はアシスタントが近況をお伝えしています。

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「安楽死のできる国」

3c19e1b2.jpg「安楽死のできる国」
  三井美奈   新潮新書
  難易度 ☆☆☆☆
マリファナも売春も同性愛結婚も合法という不思議な国オランダ。何と『公営売春宿』なんてものが存在する。そのオランダが世界で初めて安楽死を合法化したのは2001年。しかし単なる自由至上主義ではなく、自分の人生は自分で決めるという徹底した個人主義とイデオロギーに縛られない現実的思考の伝統があるから。「安楽死って何?」という基本的な知識から、安楽死先進国が経験した新たな問題まで網羅している。現在法的には認められていない日本の安楽死のこれからを考える際の参考にどうぞ。

「性同一性障害」

74071903.jpg「性同一性障害」
  吉永みち子  集英社新書
  難易度 ☆☆☆☆
ホモネタって、笑いをとるために時々使っちゃうけど、この本読んだらもう笑いのネタにはできないな。日本で初めて医療行為として行われた性転換手術を中心に、「体の性と心の性が違う」という性同一性障害患者の実像に迫る。「親のしつけが悪い」などの偏見を持たれやすいこの病気だが、体の性と心(脳)の性が胎児の発育段階ごとのホルモンバランスで決まっていくプロセスが明快に解説されている。性転換が「医療行為」として認められることにも納得。そして社会の無理解には…心が痛くなる。

「共生の意味論 バイキンを駆逐してヒトは生きられるか?」

bd92b8b0.jpg「共生の意味論 バイキンを駆逐してヒトは生きられるか?」
  藤田紘一郎  講談社ブルーバックス
  難易度 ☆☆☆
著者は寄生虫研究の第一人者。フィラリア病という風土病の調査に関わった話に始まり、病原を突き止めて寄生虫がヒトの免疫機構に関与するメカニズムを解明していくプロセスが順を追って描かれており、素人でも大変わかりやすい。15億年前のミトコンドリアの登場から最新モードのエイズウイルスまで、「寄生」いや「共生」が特定の生物の特殊な生態なのではなくあらゆる生命が生きていくカタチであることを説いている。面白いのは宿主体内でのウイルスや寄生虫の振る舞い。他のウイルスを邪魔したり宿主と上手い関係を保ったり、人間社会とソックリなんだよな。学ぶこと多し。

「俺が、つくる!」

60766f7f.jpg「俺が、つくる!」
  岡野雅行 中経出版
  難易度 ☆
世界初「細すぎて痛くない注射針」の開発で日本国内のみならず海外の医療関係者をも驚かせた日本の金型職人、岡野雅行。一見下町の地味な工場のおじさんにしか見えないが、みんなが持っている携帯電話の超薄型電池から米軍ステルス戦闘機のどっかの部品まで、彼のアイデアと技術がなかったら実現しなかった革命的製品を数えたらきりがない。そんな世界一の職人がモノ作りからビジネス、人生まで熱く語るべらんめえ調の一冊。世界の大企業に頭を下げさせてきたオヤジが放つスケール違いの名言の数々に、小さい悩みなんか吹っ飛ばされること間違いない。できれば若いうちに読んでおけ。遅くとも社会人になる前には必ず読め。

「天下無双の建築学入門」

46d9de6d.jpg「天下無双の建築学入門」
  藤森照信 ちくま新書
  難易度 ☆☆
丸太は石器で切れる。でも弥生時代に大陸からやってきた竹は鉄製のノコギリでないと切れない。縄文と弥生の技術的な違いにはこのような風土的な違いが関係している…。縄文をこよなく愛し、竪穴式住居まで自作してしまう著者が日本の住宅をあらゆる視点から解説する。畳の歴史に日本人のヒエラルキー感覚を見抜き、日本で階段が発達しなかった理由を日本舞踊に発見し、なぜかギリシャのパルテノン神殿に古代ギリシャ人の木造コンプレックスを看破する。文章が面白いのでスラスラ読めてしまうが、古今東西の建築に精通した著者の慧眼、実はスゴイ。
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