眠れるライオンもたまには起きるっ

もともと国語講師・鈴木鋭智が受験生を励ましたり冷やかしたりするブログでしたが、最近はアシスタントが近況をお伝えしています。

「トポロジーの発想」

0e0b2c74.jpg「トポロジーの発想」
  川久保勝夫著   講談社ブルーバックス
  難易度 ☆☆☆☆
○と△は同じカタチ。ほら、線で囲まれてるだけじゃん。では、コーヒーカップとドーナツも同じカタチ、と言ったらわかるかな?両方とも1カ所だけ穴が空いてるだろ。このように一見全然違うものでもカタチの共通点を見つけて同じようなもの(「同相」という)と考える数学のジャンルがトポロジー。実は世の中のあらゆるものの構造を、あるいは本質を見抜くための発想がトポロジーなのだ。数学が苦手でも大丈夫。文系の諸君も読もう。物事の本質が見える。世の中の見方が変わる。

「本当は聞こえていたベートーヴェンの耳」

82527b43.jpg「本当は聞こえていたベートーヴェンの耳」
  江時 久  NTT出版
  難易度 ☆☆☆☆
ベートーヴェンといえば、「耳が聞こえないのに数多くの名曲を残した大天才」「女好きだったわりに晩年は孤独だった」「激情的でキレやすい」等々、さまざまな伝説を持つ謎多き人物。だが一体どんな種類の聴覚障害だったのだろう。著者は自身の難聴体験からベートーヴェンの耳は「ピアノの音は聞こえるが人の声が聞こえない」という「あぶみ骨固着」による難聴だと推理。この仮説から彼の行動を検証すると、数々の「奇行」の本当の理由、難聴者にしかわからない社会との軋轢が見えてくる。そして「第九」に込めた本当の想いも。音楽史を塗り替えたのみならず、現代社会においても理解されにくい聴覚障害者の声を代弁する貴重な一冊でもある。

「原子爆弾」

bf17b64d.jpg「原子爆弾」
  山田克哉  講談社ブルーバックス
  難易度 ☆☆☆☆☆
爆弾マニアにとってはバイブル。原爆開発の歴史から原子爆弾の仕組みまで、呆れるくらい詳しく詳しく記述している。核分裂発見の9カ月後に第二次世界大戦が勃発するという不思議なタイミングにただの偶然以上の何かを感じるのは俺だけか。開発に関わる科学者が多すぎて、時々ページを戻らないとわからなくなるが、これ一冊読むとウラン濃縮、遠心分離器、軽水炉、プルトニウムなど最近のニュースで耳にする用語がパーフェクトに理解できる。北朝鮮やイランで何が起こっているかがよくわかる。

「安楽死のできる国」

3c19e1b2.jpg「安楽死のできる国」
  三井美奈   新潮新書
  難易度 ☆☆☆☆
マリファナも売春も同性愛結婚も合法という不思議な国オランダ。何と『公営売春宿』なんてものが存在する。そのオランダが世界で初めて安楽死を合法化したのは2001年。しかし単なる自由至上主義ではなく、自分の人生は自分で決めるという徹底した個人主義とイデオロギーに縛られない現実的思考の伝統があるから。「安楽死って何?」という基本的な知識から、安楽死先進国が経験した新たな問題まで網羅している。現在法的には認められていない日本の安楽死のこれからを考える際の参考にどうぞ。

「性同一性障害」

74071903.jpg「性同一性障害」
  吉永みち子  集英社新書
  難易度 ☆☆☆☆
ホモネタって、笑いをとるために時々使っちゃうけど、この本読んだらもう笑いのネタにはできないな。日本で初めて医療行為として行われた性転換手術を中心に、「体の性と心の性が違う」という性同一性障害患者の実像に迫る。「親のしつけが悪い」などの偏見を持たれやすいこの病気だが、体の性と心(脳)の性が胎児の発育段階ごとのホルモンバランスで決まっていくプロセスが明快に解説されている。性転換が「医療行為」として認められることにも納得。そして社会の無理解には…心が痛くなる。
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