眠れるライオンもたまには起きるっ

『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』著者の鈴木鋭智が受験生を励ましたり冷やかしたり・・・

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問題
バスケの試合中、シュートしても10本中2本しか成功しない人がいる。この人が掲げた今年の目標のうち、達成可能なのは次のうちどれ?

1 10本中8本

2 10本中10本



 正解は、2の「10本中10本」。

 「10本中8本」を目標にした人は、どんな努力をするだろうか? おそらくいままでより慎重に狙って、入りやすい角度を見つけて、力の加減を探るだろう。そうして成功する「確率」を上げようとするだろう。

 しかしそれでは、いままでのやり方(2本入るくらいのやり方)をより熱心にやっているに過ぎない。残念ながら同じ努力からは同じ結果しか生まれない。せいぜい3〜4本に増やすのが精一杯だ。

 ところが、「10本中10本」入れようとすると1本たりとも外すわけにはいかない。ここで人は初めてアタマを使う。外す確率を減らすのではなく、外れる要素のない全く新しいやり方を発明しなければならないのだ。

 投げてからゴールまでの距離が遠いほど、ボールの軌道がずれる確率は高くなる。しかも距離が遠いほど、敵にブロックされる確率も増える。

 ならば、ゴールの枠までボールを持って行けばいいじゃん。

 これに気付いた誰かが、「ダンクシュート」を発明したのだ。「床から投げる」ではなく「ゴールまで自分が飛ぶ」。これなら100%確実にシュートは決まる。それまでと180度異なる発想が、いまでは当たり前になった新しい技術を生み出したのだ。



 テストも同じ。100点を目指して初めて、いままでと異なる発想が必要になる。80点を目指す人と100点を目指す人では、同じ問題を解いていても全く違う世界が見えているのだ。だから現在60点の人でも、80点なんて微妙なラインを目指すよりは100点満点を狙った方が、受かる。

 勉強のダンクシュートを発明しよう!

 一流大学を出ている人、ビジネスで成功している人には共通する性格がある。

 それは、しつこいこと。

 彼らはなぞなぞを出されると、わからなくても答えを聞かない。一週間でも一ヶ月でも考え続ける。自力で解決しないと気が済まないのだ。横から口をはさんで答えを教えようとすると本気で怒られる。

 このような人は受験勉強にも性格が表れる。彼らは問題集をやっても答えを見ない。
 数学の場合、本当に解けた時は「あ、わかった!」と自分でわかるものだ。解答を見ないと合っているかどうかわからないときというのは、まぐれ当たりに過ぎない。
 社会で空欄に入る言葉が思い出せないとき、それでも彼らは解答を見ない。その代わりに教科書や資料集で調べるのだ。隅々まで調べて「答えはこれしかあり得ない」と思ったら、大抵それは正解だ。

 どうしてもわからないものは、そのまま放置する。ただの放置ではなく、寝る前に必死で考えて考えて、そのまま寝る。すると、不思議なことに朝起きた瞬間に解けることがあるのだ。

 ちょっと問題を見て、わからないとすぐ解答をめくる人。解き終わったら計算ミスのチェックや答えが設問の理屈に合っているかどうかの確認もせずパパッと答え合わせをしてしまう人。これでは勉強というより「作業」をテキパキ片付けているだけだ。

 社会に出てから、与えられた作業を片付けるだけの人間になりたいなら、それでいい。

 クリエイティブな人間になって、自分のアイデアで仕事を作り出したいならば、せめてなぞなぞだけでも自力で考え抜こう。


「恋人に終わりはないのに、友人には終わりがあるのはなぜ?」

Q:なぜアメリカ人は「軍人」なのに、イラク人は「テロリスト」なんですか?

A:テロリストとは、「国家に属さず、軍服を着ていない戦闘員」。

 え、服装? と思うかも知れないが、これは意外に重要なポイントだ。

 昔、「戦争」といえば国家と国家の争いだった。争いといっても、最初は領土などを巡った外交から始まり、相手を脅すために軍事力をチラつかせ、交渉が決裂してどうにもならない場合にやっと戦争に踏み切る。つまり戦争とは、国家同士の交渉の一手段だったわけだ。
 目的は敵を滅ぼすことではなく、あくまでも交渉。戦争になったとしても「これじゃ割に合わない」「領土を譲った方がマシ」と思ったらさっさと降伏するか、停戦を持ちかける。そして再び交渉に戻るわけだ。

 この場合の大前提が、政府なり王様なりが「戦争中止!」と言ったら軍隊が即座に攻撃中止すること。つまり軍隊が政治の言うことを忠実に聞くことだ。これを「文民統制(シビリアン・コントロール)」という。実はこれが現代のテロ問題を考えるときの一番大事なポイントになる。
 この「文民統制(シビリアン・コントロール)」が機能している軍隊を正規軍とも呼ぶ。

 ところが一般に「テロリスト」と呼ばれる人たちは国家公務員として正規軍に入隊したわけではない。一種のボランティアだ。だから彼らには「文民統制(シビリアン・コントロール)」に従う筋合いがない。しかも政府が考える「交渉」など、知ったこっちゃない。戦うと決めたら戦い続ける。

 1991年の湾岸戦争が短期で停戦できたのはフセイン大統領が軍を掌握していたからだ。しかも彼はイラク国内の多様な部族や派閥を力づくでコントロールしていた。
 ところが2003年に始まったイラク戦争では、そのフセイン政権を倒してしまった。これでは軍も部族も派閥も、「文民統制(シビリアン・コントロール)」から“解放”されてしまう。当然、勝手に動き始めるし、停戦命令をかける人もいない。
 これが現在のイラク泥沼化の理由だ。

 ちなみに、太平洋戦争が8月15日に突然終わったのは天皇陛下が停戦命令を出し、軍がそれに従ったから。国民も「陛下がおっしゃるなら」とゲリラ戦に持ち込んで抵抗することはなかった。
 朝鮮戦争も短期で停戦したが、これも正規軍vs正規軍の戦争だったからだ。
 中東戦争は4回とも短期で停戦(最短は6日)。それなのに現在のパレスチナ紛争が長引いているのは、中東戦争ではイスラエルの相手がエジプトやシリアなど周辺国の正規軍だったのに対し、いまの相手はゲリラ組織(ハマス、ヒズボラなど)だからだ。
 応仁の乱が泥沼化して戦国時代に突入してしまったのは、室町幕府が弱体化して誰が正規軍だかわからなくなってしまったから。関ヶ原の戦いが一日で片付いたのはすでに豊臣政権の秩序が出来ていて、徳川家康側の正規軍と石田三成側の正規軍の戦いだったから。

 これくらい、正規軍とゲリラ組織では戦争の行く末が違うものなのだ。

 そしてもう一つ、軍服の話。

 正規軍は必ず軍服を着ている。これは、誰が戦闘員かを明らかにし、一般市民を巻き添えにしないためだ。ところがテロリストやゲリラと呼ばれる人たちは、いわば私服。これがテロとの戦いを一層悲惨なものにする。

 正規軍から見ると、その辺を歩いている人間が一般市民なのか武器を隠し持ったテロリストなのか区別が付かないことは恐ろしい。先日も巡礼者の中の一人が乗っていた車椅子に爆弾が隠されていて、数十人が吹き飛ばされるという事件があった。
 服装がはっきりしないだけでなく、どこまでを組織のメンバーと呼べるのかもあいまいな場合も多い。一般市民がテロリストをかくまうためだ。結局、「テロリストの隠れ家」を攻撃すると、かくまっていた「共犯者(下宿のおばちゃん)」まで犠牲になってしまう。すると「一般人が殺された」ということで、更なる憎悪をかき立てるのだ。

 テロの根絶は非常に困難だ。武装集団たちの間に秩序が生まれ、正規軍と同レベルの政治的な交渉が可能になるまで、日本の戦国時代は100年かかっている。フセインの銅像を倒した瞬間、イラク戦争は終戦どころか長い長い無秩序の時代につながる“応仁の乱”になってしまったのかもしれない。

 4月の話はまだ早いかも知れないが、無駄なお金を使う前にひとこと言っておこう。
 それはノートの選び方。
 結論を言うと、横罫線の大学ノートは効率が悪い。
 たとえば数学。単純な足し算引き算ならまだしも、分数が出てきた時点で横罫線は邪魔になるはず。積分のインテグラルや数列のシグマなど、記号自体が罫線からはみ出してしまうものも多い。横罫線と格闘しながらグラフや図を無理矢理描いている受験生もよく見かける。
 無地か5ミリ方眼にすればいいのに。
 たとえば国語。横罫線のノートを90度回転させて縦罫線にし、記述問題になるとさらに定規で横線を引っ張ってマス目を作る。さらに古文と違い、現代文の先生は文構造を図解する人が多いので、板書が縦横入り乱れていたりする。
 原稿用紙か、8ミリ方眼にすればいいのに。
 社会では地図を描くし理科でも絵を描く。英語も文法の解説で先生が黒板にあれこれ書き込むことは横罫線の秩序には収まらないものだ。
 このように考えると、学校の勉強で横罫線の大学ノートを使うことにはほとんどメリットがないことがわかるだろう。それなのに、ただ文房具屋に大量に置いてあるというだけで、95%の学生が何も疑うことなく横罫線ノートを買って行く。

 もう一度、ノートを選び直そう。
 文具メーカーが勝手に決めた横線に縛られて生きる必要はない。

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  難易度 ☆
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