眠れるライオンもたまには起きるっ

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対「テロ」戦争

Q:なぜアメリカ人は「軍人」なのに、イラク人は「テロリスト」なんですか?

A:テロリストとは、「国家に属さず、軍服を着ていない戦闘員」。

 え、服装? と思うかも知れないが、これは意外に重要なポイントだ。

 昔、「戦争」といえば国家と国家の争いだった。争いといっても、最初は領土などを巡った外交から始まり、相手を脅すために軍事力をチラつかせ、交渉が決裂してどうにもならない場合にやっと戦争に踏み切る。つまり戦争とは、国家同士の交渉の一手段だったわけだ。
 目的は敵を滅ぼすことではなく、あくまでも交渉。戦争になったとしても「これじゃ割に合わない」「領土を譲った方がマシ」と思ったらさっさと降伏するか、停戦を持ちかける。そして再び交渉に戻るわけだ。

 この場合の大前提が、政府なり王様なりが「戦争中止!」と言ったら軍隊が即座に攻撃中止すること。つまり軍隊が政治の言うことを忠実に聞くことだ。これを「文民統制(シビリアン・コントロール)」という。実はこれが現代のテロ問題を考えるときの一番大事なポイントになる。
 この「文民統制(シビリアン・コントロール)」が機能している軍隊を正規軍とも呼ぶ。

 ところが一般に「テロリスト」と呼ばれる人たちは国家公務員として正規軍に入隊したわけではない。一種のボランティアだ。だから彼らには「文民統制(シビリアン・コントロール)」に従う筋合いがない。しかも政府が考える「交渉」など、知ったこっちゃない。戦うと決めたら戦い続ける。

 1991年の湾岸戦争が短期で停戦できたのはフセイン大統領が軍を掌握していたからだ。しかも彼はイラク国内の多様な部族や派閥を力づくでコントロールしていた。
 ところが2003年に始まったイラク戦争では、そのフセイン政権を倒してしまった。これでは軍も部族も派閥も、「文民統制(シビリアン・コントロール)」から“解放”されてしまう。当然、勝手に動き始めるし、停戦命令をかける人もいない。
 これが現在のイラク泥沼化の理由だ。

 ちなみに、太平洋戦争が8月15日に突然終わったのは天皇陛下が停戦命令を出し、軍がそれに従ったから。国民も「陛下がおっしゃるなら」とゲリラ戦に持ち込んで抵抗することはなかった。
 朝鮮戦争も短期で停戦したが、これも正規軍vs正規軍の戦争だったからだ。
 中東戦争は4回とも短期で停戦(最短は6日)。それなのに現在のパレスチナ紛争が長引いているのは、中東戦争ではイスラエルの相手がエジプトやシリアなど周辺国の正規軍だったのに対し、いまの相手はゲリラ組織(ハマス、ヒズボラなど)だからだ。
 応仁の乱が泥沼化して戦国時代に突入してしまったのは、室町幕府が弱体化して誰が正規軍だかわからなくなってしまったから。関ヶ原の戦いが一日で片付いたのはすでに豊臣政権の秩序が出来ていて、徳川家康側の正規軍と石田三成側の正規軍の戦いだったから。

 これくらい、正規軍とゲリラ組織では戦争の行く末が違うものなのだ。

 そしてもう一つ、軍服の話。

 正規軍は必ず軍服を着ている。これは、誰が戦闘員かを明らかにし、一般市民を巻き添えにしないためだ。ところがテロリストやゲリラと呼ばれる人たちは、いわば私服。これがテロとの戦いを一層悲惨なものにする。

 正規軍から見ると、その辺を歩いている人間が一般市民なのか武器を隠し持ったテロリストなのか区別が付かないことは恐ろしい。先日も巡礼者の中の一人が乗っていた車椅子に爆弾が隠されていて、数十人が吹き飛ばされるという事件があった。
 服装がはっきりしないだけでなく、どこまでを組織のメンバーと呼べるのかもあいまいな場合も多い。一般市民がテロリストをかくまうためだ。結局、「テロリストの隠れ家」を攻撃すると、かくまっていた「共犯者(下宿のおばちゃん)」まで犠牲になってしまう。すると「一般人が殺された」ということで、更なる憎悪をかき立てるのだ。

 テロの根絶は非常に困難だ。武装集団たちの間に秩序が生まれ、正規軍と同レベルの政治的な交渉が可能になるまで、日本の戦国時代は100年かかっている。フセインの銅像を倒した瞬間、イラク戦争は終戦どころか長い長い無秩序の時代につながる“応仁の乱”になってしまったのかもしれない。

大学ノートは捨てなさい

 4月の話はまだ早いかも知れないが、無駄なお金を使う前にひとこと言っておこう。
 それはノートの選び方。
 結論を言うと、横罫線の大学ノートは効率が悪い。
 たとえば数学。単純な足し算引き算ならまだしも、分数が出てきた時点で横罫線は邪魔になるはず。積分のインテグラルや数列のシグマなど、記号自体が罫線からはみ出してしまうものも多い。横罫線と格闘しながらグラフや図を無理矢理描いている受験生もよく見かける。
 無地か5ミリ方眼にすればいいのに。
 たとえば国語。横罫線のノートを90度回転させて縦罫線にし、記述問題になるとさらに定規で横線を引っ張ってマス目を作る。さらに古文と違い、現代文の先生は文構造を図解する人が多いので、板書が縦横入り乱れていたりする。
 原稿用紙か、8ミリ方眼にすればいいのに。
 社会では地図を描くし理科でも絵を描く。英語も文法の解説で先生が黒板にあれこれ書き込むことは横罫線の秩序には収まらないものだ。
 このように考えると、学校の勉強で横罫線の大学ノートを使うことにはほとんどメリットがないことがわかるだろう。それなのに、ただ文房具屋に大量に置いてあるというだけで、95%の学生が何も疑うことなく横罫線ノートを買って行く。

 もう一度、ノートを選び直そう。
 文具メーカーが勝手に決めた横線に縛られて生きる必要はない。

「世界を見る目が変わる50の事実」

世界を見る目が変わる50の事実「世界を見る目が変わる50の事実」
  ジェシカ・ウィリアムズ著   草思社
  難易度 ☆
「米国に生まれる黒人新生児の3人に1人は刑務所に送られる」「世界の喫煙者の82%は発展途上国の国民」「英国で売られるニュージーランド産キウイは、その重量の5倍の温室効果ガスを排出している」など、統計を使って世界の実情を明らかにし、文字どおり「世界を見る目が変わる」一冊。“満へぇ”級のトリビア満載で、これを読めば明日から“うんちく王”になれること間違いない。だが書かれている内容の面白さもさることながら、本書の特徴はその手法。価値観や感情といった質的データでは見えないものをひたすら“数字”で追っていくというやり方は、大学に入ってレポートを書く時にも大いに参考になるはずだ。

「感染症は世界史を動かす」

感染症は世界史を動かす「感染症は世界史を動かす」
  岡田晴恵  ちくま新書
  難易度 ☆☆☆
1347年マルセイユに上陸したペスト(黒死病)はヨーロッパ全土を死体の山と化した。医学のない時代、祈っても無力な教会に民衆は絶望、宗教改革につながっていく。1493年コロンブス一行が持ち帰った梅毒の大流行はイギリス人の性意識を変え、純潔を重んじるピューリタン(清教徒)を生み出す。そして1918年アメリカ兵がヨーロッパに持ち込んだスペイン風邪は…。みんなも習った世界史を「疫病」という観点から再検証。貧困や戦争などの社会情勢が感染症の猛威を誘い、逆に感染症の惨劇が社会に大変革をもたらす。らい菌からインフルエンザウイルスまで、歴史を動かすのは人間様の野心やイデオロギーだけじゃないんだね。

「逆説の日本史」

逆説の日本史「逆説の日本史」
  井沢元彦  小学館文庫
  難易度 ☆☆☆☆
歴史好きは絶対はまる。卑弥呼の死因から源氏物語が書かれた目的、源義経が殺された本当の理由まで、定説を覆す珍説奇説のオンパレードだ。しかしただのトンデモ本と異なるのはその説得力。従来の歴史学における手法の欠陥を指摘し、史料に「書いてあること」ではなく「なぜこう書かれたのか」を分析していく。特に名前の付け方から天皇の死因や天皇家の本当の系譜までを解明していく過程は目からウロコ落ちまくり。歴史分野以外でも「文系の学問はこうやるもんだ」というお手本でもある。
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